ティラノサウルスに羽毛はあった?
ティラノサウルスの首や腰、しっぽの皮膚の化石には、ウロコの跡が残っています。ただ、全身の皮膚が見つかったわけではないので、体のどこにも羽毛がなかったとまでは言い切れません。 近い親戚のユティラヌスには、羽毛があった証拠があります。こうした親戚はヒントになりますが、ティラノサウルス自身の化石とは分けて考えることが大切です。
皮膚の化石に残っていたもの
科学者が手がかりにするのは、イラストの想像ではなく、石に残された証拠です。ティラノサウルスは、首のまわりや腰のあたり、しっぽなどの皮膚の型を化石に残していました。そこにあったのは小さなでこぼこのウロコで、羽毛の跡は見つかっていません。
もちろん、鼻先からしっぽの先まで、全身の皮膚が見つかったわけではありません。背中の皮膚も、まだ見つかっていません。だから正直に言えば、科学でわかっているのは「見つかった部分はウロコでおおわれていた」ということまで。「全身に羽毛が1本もなかった」とまでは言い切れないのです。
それでも、ふわふわに描かれるのはなぜ?
獣脚類のなかまの多くで羽毛の証拠が見つかったため、ティラノサウルスにも羽毛があったのではないか、と考えられるようになりました。羽毛は飛ぶためだけでなく、体を温めたり、仲間にアピールしたりするのにも役立ちます。
ただし、親戚に羽毛があったことと、ティラノサウルスの全身が羽毛でおおわれていたことは、同じではありません。復元画を見るときは、どこまでが化石でわかっていて、どこからが推測なのか、気にしてみてください。
大きくてふわふわの親戚は、ティラノサウルスじゃない
中国で「ユティラヌス」という恐竜の化石が見つかりました。全長およそ9mもあるのに、体には長くやわらかい、綿毛のような羽毛が生えていました。大きな体に羽毛をまとった、本物の羽毛恐竜です。でもユティラヌスは親戚であって、ティラノサウルスそのものではありません。
ユティラヌスは、ティラノサウルスよりずっと前の時代に寒い地域で生きていた、体重もずっと軽い恐竜でした。いっぽう白亜紀の終わりのティラノサウルスは、体重8トンもある超重量級。お兄さんが分厚いニット帽をかぶっているからといって、弟の絵にも同じ帽子をかぶせる必要はありませんよね。
ヴェロキラプトルには、確かに羽毛があった
ヴェロキラプトルの前あしの骨には、羽毛がついていた小さなでっぱりが残っています。羽毛があった直接の証拠です。ただし、いまの鳥のように空を飛ぶことはできませんでした。
絵を描くときは、羽毛に加えて、長いしっぽやあしの曲がったかぎ爪にも注目してみましょう。ティラノサウルスの場合は、ウロコの証拠がある部分と、まだわからない部分があります。
証拠をもとに恐竜を描くコツ
ティラノサウルスを描くなら、大きな頭、がっしりした後ろあし、短い前あし、長いしっぽ。皮膚のウロコには化石の証拠がありますが、体の色や、化石が残っていない部分のようすは、まだわかっていません。
ヴェロキラプトルなら羽毛とあしのかぎ爪、プテラノドンなら皮膚の翼。何を手がかりに描いたのか、短い説明を添えておくと、想像と証拠のちがいも伝わります。
よくある質問
- ティラノサウルスに羽毛はあった?
- 見つかっている皮膚の化石にはウロコがあります。まだ見つかっていない背中などに少し羽毛があった可能性はありますが、全身ふわふわに描くには証拠が足りません。
- 本だとふわふわなのはなぜ?
- 羽毛をもつ親戚を参考に、見つかっていない部分を想像して描いているからです。ティラノサウルス自身の皮膚の化石には、ウロコが残っています。
- ユティラヌスはティラノサウルスなの?
- いいえ。中国で見つかった親戚です。ティラノサウルスより前の時代に生きていて、体に羽毛の跡が見つかっています。
- 羽毛が生えていたことが確実な恐竜は?
- ヴェロキラプトルなど、小型の肉食恐竜のなかまです。いまも生きている恐竜、つまり鳥にも、もちろん羽毛がありますね。
- 飛べないのに、なぜ羽毛があったの?
- 体温を保つためや、仲間にアピールするためだったと考えられています。空を飛ぶための翼は、のちの鳥たちで発達しました。
- 「ジュラシック・パーク」のティラノサウルスはツルツルだけど、本当?
- 見つかっているウロコの化石とは、だいたい合っています。ただ、全身のようすまではわかっていません。ヴェロキラプトルの大きさは、映画ではまちがっていました。
おぼえておこう!
- 絵には「ウロコ=化石で見つかった事実」「背中の羽毛=想像」とメモしておきましょう。
- ティラノサウルスとユティラヌスをまぜないこと。片方はウロコの王さま、もう片方はふわふわの親戚です。
- 羽毛のある恐竜を描くなら、ヴェロキラプトルや始祖鳥を調べてみましょう。身近なスズメを観察するのもおすすめです。